私の幼馴染みのK君。
K君の家は大規模農家でした。
K君のお母さんは物凄い倹約家。
農家の仕事をしながら、朝の4時から給食センターでパートをするような人でした。
そのK君の家の前に○○通りという大きな道路ができました。
今はその道沿いにヤマダ電機、メガネ屋、スーパー、飲食店などがどんどん進出しています。
K君の両親は農家を縮小して、それらの店舗に土地を貸しています。
その家賃収入は月200万円、年間2400万円です。
K君は高校を出て会計の専門学校に行きました。
そして、お母さんの知り合いの会計事務所に就職しました。
しかし、公認会計士や税理士の資格のないK君はずっと見習いで、会計士の雑用として銀行や役所へ手続きに行くのが仕事です。
給料は10万円です。
しかし、K君のお母さんがこの会計事務所の社長にお金を渡して、K君の給料やボーナスを水増ししています。
K君の家はお金持ちだけど、お母さんがお金の管理は全て握っているので、K君が使えるお金は限られています。
K君の両親は働き、貯めたお金をK君に残して死ぬでしょう。
K君も働き、貯めて、子供に残して死にます。
これをずっと繰り返しても潤うのは家であって、人ではありません。
どんなに資産が貯まっても、親から子へと「大きな貯金箱」を回しているだけです。
相続制度がなければ働いて、貯めて、60才から自分の楽しみのためにお金を使って死ねます。
その方がK君のお母さんもK君も幸せだと思います。
家のため、先祖代々の土地のため、子供のためといった古い考えを捨て、自分のために生きた方が楽しいと思います。
そうは言いながら
私はK君を悪さばかりに誘うのでK君のお母さんには嫌われていました。
でも、K君の家のおばあちゃんは優しかったです。
K君の家に遊びに行けばいつも炊き立てのごはんでおむすびを作ってくれました。
海苔もゴマも付いていない塩だけのおむすびです。
それが滅茶苦茶美味しいのです。
農家だったのでお米が新米だったのだと思います。
今でもK君の家のおばあちゃんが握ってくれた塩おむすびより美味しいものは食べたことがありません。
K君の家は正月には餅をつきます。
昭和の時代のままです。
私も昭和の時代が好きです。
K君は財産は自由にできないけど幸せなのかもしれません。